著作権法で保護される著作物は?

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「著作権について-目的と基本の原則」のとおり、著作物としての保護を受けるためには、著作物性(著作権法2条1項1号)が認められる必要があります。

そのうえで、10条1項各号には、保護される著作物の類型が列挙されています。

小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物(10条1項1号)

言語によって表現されたもので、言語の著作物に分類されます。
文書の形である必要はなく、例えば、講演のように、口述(つまり無形)であってもこれに含まれます。


もっとも、雑報などの単なる事実の伝達にすぎないものや、キャッチフレーズや標語、スローガンなど簡略でありふれた表現である場合には、著作物性が否定されることもあり、留意が必要です。


裁判例の一つとして、刑事裁判での証人尋問の傍聴結果を記述した傍聴記について、著作物性を否定したものがあります(知財高判平成20年7月17日判時2011号137頁〔ライブドア裁判傍聴記事件〕)。

音楽の著作物(2号)

楽譜という形をとっているものだけでなく、即興の演奏もこれに含まれます。
また、歌詞を伴う場合には、歌詞も含まれるとされています。

舞踊又は無言劇の著作物(3号)

身振りや動作などによって表現されるものをいいます。
例えば、日本舞踊、バレエ、ダンスなどが含まれるとされています。

絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物(4号)

形状や色彩によって表現されるもので、絵画や版画、漫画といった平面的な作品のみならず、彫刻のように立体的に表現される作品も含まれます。

映画の著作物(7号)

映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物も含まれます(2条3項)。
なお、「物に固定」とは、テレビの生放送を映画の著作物から除外するという意味で、何らかの媒体に固定されるものであればよいとされます。

例えば、劇場用映画、アニメ、ビデオなどがこれに含まれます。

映画の著作物は、もともと、劇場用映画を想定したものとなっており、多数の著作者が存在し得るなかでの円滑な利用や、製作に要した投下資本の回収の必要性などの観点から、著作権の帰属や利用権などについて、独自の定めがある点に留意が必要です。
例えば、映画の著作物の著作者は、職務著作(15条1項)に該当する場合を除き、映画の著作物の「全体的形成に創作的に寄与した者」となります(16条)。
さらに、「映画の著作物の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する」(29条1項)ものとされています。

ゲームソフトについては、映画の効果に類似する視覚的効果などが認められることから、映画の著作物に該当するとした最高裁判例(最判平成14年4月25日民集56巻4号808頁〔中古ソフト事件〕)があります。
一方で、そのような視覚的効果が認められず、映画の著作物に該当しないとした裁判例もあります(東京高判平成11年3月18日判時1684号112頁〔三國志Ⅲ事件〕)。

写真の著作物(8号)

被写体の選択・組合せ・配置、構図などの要素を総合してなる一つの表現であるとされています。

もっとも、写真は、撮影や現像に創意工夫を凝らしたものから、証明写真のように単に被写体を写したに過ぎないものなど、その思想又は感情の表現の度合いは様々です。

広告用の商品写真について、裁判例の一つは、創作性を認めつつも、「その創作性の程度は極めて低いものであって,著作物性を肯定し得る限界事例に近いものといわざるを得ない。」としています(知財高判平成18年3月29日判タ1234号295頁〔スメルゲット事件〕)。

そのほか

建築の著作物(5号)、地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物(7号)、プログラムの著作物(9号)があります。

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