はじめに
個人再生手続を利用し・認可されるための要件(条件)を解説します。
小規模個人再生手続(通常利用される個人再生手続)を利用するためには、民事再生法に定められている要件として、
①個人である債務者で、②将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり、かつ、③借金などの総額が5000万円を超えないことが必要です。
さらに、給与所得者等個人再生(小規模個人再生手続ができない場合に検討する手続。一般に弁済額が高額になります。)を利用するためには、①~③の要件に加え、④収入の変動幅が小さいと見込まれることが必要です。
①「個人である債務者」
個人であれば、他の要件を満たす限り、個人事業主であっても利用することができます。
一方で、法人は利用することはできませんので、今後の事業方針に応じ、他の手段を検討する必要があります。
②将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
これまでの就労実績や就労意欲、定職に就く可能性、年齢等を考慮して判断されます。
アルバイトであったとしても、同一勤務先における就労実績がある場合には、今後も雇用の継続が見込まれるとして、これを満たすものとされます。
一方で収入がない場合には、これを満たさないものとされます。
③借金などの総額が5000万円を超えないこと
これを超える場合、個人再生は認められませんので、破産などの他の債務整理を検討するか、債権を免除してもらうなどにより、債務額を5,000万円以下に減らす必要があります。
なお、住宅資金特別条項を定める場合には、当該住宅ローンの金額はこれに含みません。
④収入の変動幅が小さいと見込まれること(給与所得者等個人再生限定)
債務者の職種や給与の算定基準、過去および現在の収入の状況等によって判断されます。
一般的には、年収換算で5分の1未満の額の変動であれば、これを満たすとされています。
最後に
以上のうち、特に、収入に関する②・④の要件は、再生計画案(返済計画)を確実に履行できるかの判断にも関わりますから、裁判所や再生委員により慎重な調査がされます。
個人再生を確実に成功させるためには、あらかじめ申立前に、ご依頼者様の状況を踏まえ、給与明細や源泉徴収票、課税証明書、確定申告書の吟味を行い、調査に対する入念な準備が必要不可欠です。
今回は個人再生に関する解説になりますが、弁護士は、皆様の状況や希望に応じて、債務整理の必要性や最善の手段を検討し、借金問題解決のサポートを致します。
お困りの際はお気軽にご相談ください。